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雑誌連載  [ 6.高度に情報化された営業とは何かを再度考える ]

●「高度に機械化された工場」

「高度に機械化された工場」というフレーズを見て、誰もがすばらしいと感じるだろう。それは社員を長時間単純労働から解放し、かつ高い生産性やコスト削減をも達成する。まさに先端的なイメージ、将来性あるイメージになる。これを「高度に情報化された営業」というフレーズに置き換えてみたらどうだろうか?まんざら悪い気はしない。しかし、高度な営業の情報化が達成しても、営業の仕事は以前となんら変わらず、残業がなくなるわけでもなければ、売上次第で営業生産性やコストのブレも激しい。いったい、この違いは何か、その原因を探るために、最後にもう一度、営業の情報化について整理しておきたい。

●「誰が、誰に対して」おこなう高度情報化なのか

この問いを明確にすることこそが営業の情報化を考えるキーになる。答えを敢えて作れば、最低次の3つが存在する。
(1)営業が、お客様に対して
(2)営業が、社内に対して
(3)会社が、営業に対して
(1)営業が、お客様に対して
これは、さらに顔が見えているお客様とまだ見えない潜在的なお客様に分かれる。また、営業が対面して商売するお客様なのか、インターネット上で行われる商取引のお客様なのかで違ってくる。いろいろ違いはあるにせよ、目的とすることは「お客様に喜んでもらうためにはどうすればいいか」、そのための情報化とは何かに尽きる。つまり、ここの情報化には、営業日報や営業の行動管理などの機能は入ってこない。お客様に喜んでもらうことを考えて、それを提供するための情報化を推進することになる。

(2)営業が、社内に対して
これは、営業が起点になって、企業競争力をアップさせるために行う情報化になる。つまり、顧客に一番近い位置にいるのは営業であり、日々お客様に接している営業が一番のお客様のことをわかっているはずである。その営業が知っているお客様の状況やニーズを企業として活用しないのは宝の山をドブに捨てているのと等しい。というわけで、営業が社内に向けて情報をどんどん発信するための仕組みを作る情報化になる。ただ、現状は営業から聞こえてくる情報発信の中身は、「ライバル会社はあの機能が付いているがうちの製品には付いていない」「ライバル会社はうちよりも価格が安い」など、営業しやすくするためになんとかして欲しいという営業からの叫びであり、こういう情報は、聞く側にワクワク感を与えない、それは誰もが知っている情報だからである。逆に、「このお客様は、こんな用途にこの製品を使用するらしい」とか、「これを使うことで予想外のこんなにメリットが出た」など、そういう情報を営業から社内に向けて積極的に発信することで、社内はワクワクし、それが企業全体の活性化、さらには競争力アップとつながっていく。

(3)会社が、営業に対して
これは、営業のスキルをあげるために行う情報化になる。デキル営業のノウハウを習得するために、そのノウハウをシステムの中に組み込み、そのシステムを使うことにより、スキルアップを図ろうとするものであり、一般的に営業の情報化と言えばこれを示す場合が多い。また、一方で、そもそもデキル営業のためには、営業活動をやりやすくするための仕事環境を整備する情報化である。昔ながらのもので言えば、秘書をつけたり、専属の営業アシスタントをつけたりしたものを、それに変わってITで支援しようとするものである。
このスキルアップや営業がやりやすくなる環境を用意するという情報化は、それがなければ業務が回らないというものではなく、無ければないで何とでもなる。かえって手間が増えてだけで毛嫌いする営業が多いのも事実である。これは、その機能やノウハウがイマイチ洗練されていないことが原因だろう。どうしたら使いやすく、意味あるものになるのか、文句だけではなく、それを追求していかなければならない。なぜながら、同じスタート位置に立ち、同じような社内の課題を抱えていながらも、社内の意見を取り入れながら少しずつ改良を重ね、これら情報化を推進している企業は確実に存在するからである。今まで紙ではできなかったことや、やりたくても手間の関係でできなかった営業マネジメントを実現しつつあり、これは数年後の近いうちに大きな差になって現れるに違いない。また、その数年の差は一夜にして追いつけるものではない。

●勘、根性、経験から「飽きさせない」「御用聞き」「口コミ」の営業へ

高度営業情報化と言えば、「勘、根性、経験の営業から科学的な営業へ」というキャッチフレーズであった。しかし、今改めて提案したいのは、「飽きさせない」「御用聞き」「口コミ」の営業である。これを実現することこそが営業の高度情報化になると最近考えている。
(1)飽きさせない、退屈させてない営業
あらゆる営業の方に接していて思うことは、飽きさせない営業、退屈させない営業が、これから重要になってくるのではと思うことである。なぜならば、お客様はお客様なりのスケジュールやプライオリティーを持っており、その商品やサービスがどんなんによくても、今は入らないということがある。受注できるかどうかで言えば受注できないことになる。しかし、今は入らなくてもいずれ必要なときがやってくる。そのタイミングが来るときまで、いかにお客様とリレーション(関係性)を保ち、いざそのタイミングが来たときに商売できるかが勝敗の分かれ目になる。このいざタイミングが来るまでの間(ま)を持たせることができる営業こそが今の時代に求められる営業スキルであり役割ではないかと考えている。では、そのためには何が必要なのか、それはネタの一言に尽きる。お客様に提供する情報と言い換えてもいい、飽きさせない、退屈させない情報が必要なのである。これらの情報を豊富に持つことにより、お客様はいつでも話を聞きたいと思うし、営業が来訪することを歓迎し、いずれこの会社と取引しようと思うわけである。これは、一人で出来てしまう営業もいるが、会社全体でいろいろなネタを蓄積し、いつでもこれらの情報を提供できるような仕組みを持つことは、営業にとっても、お客様にとっても、双方のメリットになる。

(2)改めて必要性を感じる「御用聞き」営業
「御用聞き」と言えば、すぐに思い出すのは昔ながらの酒屋だが、その機能を改めてみると、今の情報化に欠けていることがひとつ見えてくる。それは、「御用聞き」は何も注文だけを取るのではなく、お客様の現状(今今の状況、日々の動き)を知ることになる。最近、このお客様は景気がよさそうだとか、苦しそうだとか、何か新しいことを考えているとか、そういう今今の状況を知ることができる。
情報化の限界は、予想を立てることは出来ても正確に把握することはできないことである。つまり、情報化されているものはすべて過去の情報であり、過去こうだったから、今はこうなっているはずであるというレベルまでで、実際に自分の目で今どうなのか見てきた事実には勝てない。特に、コンピュータを使っておこなわれる個人の属性や過去の購買履歴をベースにしたプロモーションを例にとると、お客様が違う状況や違う方向に向かっていっている場合は、いくら過去を分析しても、それは無駄であり、そればかりか、的外れな情報提供は、受け取る側は迷惑とさえ感じてしまうことになる。また、個人情報保護法との関連で、個人情報漏洩等が会社の命取りになる昨今、この問題の本質は「御用聞き」で日ごろから蜜な関係にある企業なら、個人情報を出すことについてもあまり抵抗がないと思われるが、関係の薄いところがITを駆使してとばかりに様々なプロモーションをするので、受け取る側もうるさく神経質になるのである。
(3)インターネットやブログのビジネス活用の可能性
3つめはインターネットである。最近話題になっているブログについてその可能性を提案したい。ブログは営業の代替手段と考えると様々な可能性がある。弊社の事例で恐縮だが、現在弊社が実験として開設している「ブログ検索」サイトの現状をお伝えしたい。このサイトの試みとしては、バイラルマーケティング(口コミマーケティング)のアソシエイト層(最初に口コミのきっかけを作るキーパーソン)のパワーを測ることに置いており、その結果は、リリース2週間ですでに1日1万ページビューを超えて、なお日々増え続けている。一切プロモーションは行っていない。口コミ(インターネットでは書き込み)であるが、使ってみた感想など様々な書き込みがブログ上で行われ、Googleで検索するとすでに5万件ヒットする。このブログというツールを使わないのはもったいない。まずは試しにブログを開設してみてはどうだろうか。アイデア、使い方次第でビジネスに大きなメリットをもたらすことは確かである。

●ベストプラクティスか、柔軟性か

最後はベストプラクティスの話にしたい。なぜながら、最終的になにかやろうとしたときに、この問題に突き当たるからである。また、先日ある上場企業の社長さんと話したときに考えさせられるものがあったからである。その話とは、ひと昔前は「Japan AS NO1」といわれ、どの国も日本をお手本にしていたのに、今は外資からそのお手本がITにのってやってくる。日本はどうしてこういう風になってしまったのか、と質問したところ、「いまだ日本はNO1の部分が多いと思う。戦略なものは別としても現場は間違えなく1番である」とその社長さんが言った。もしかしたらそうかもしれない。それから、どうして現場が1番のままなのか、またそれを可能にしている要因は何か、今は日々そのことを考えている。たとえば、周りを見れば、ITを導入することが大切ではなく運用こそが大切だとソリューション会社はいい、世界中のベストプラクティスを集めたプロダクトこそベストだとシステム会社は言う。本当はどちらを優先させるべきか、予算を割くとしたら、どちらに比重を置けばいいのだろうか?実はもっと大切なことを見落としているのではないだろうか?そんなことにも通じるテーマである。
このベストプラクティスという言葉は経営とITをつなげるキーワードとして15年ぐらい前から使われるようになった。簡単に言えば、どこかの成功事例をITでシステム化し、その恩恵を受けようとするものである。ただ、それは「その企業の成功例であり、自社がその通りに行ったからといって必ず成功するわけではない」と知っている企業は、そのために自社固有のやり方を追加するためにカスタマイズを行う。そのためベストプラクティス度よりカスタマイズが容易な柔軟性のあるシステムを求めることになる。本来ベストプラクティスとシステムの柔軟性はトレードオフの関係にあり、どちらを優先するかそれを決めるのは難題であり、多くの企業はその難題を解決しないまま進めている。それが、システム化の費用対効果という意味で、日本が十分に恩恵を受けていない原因になっている。このテーマについてITの仕事に関わっている者としてぜひ解決したいと思っている。(なお、このトレードオフの課題については、たとえば、ビジネスプロセスを250項目に分けて、それぞれのサービスを作り、そのサービスを必要に応じて組み合わせて使うようなシステムの考え方も最近は出てきている)

●終わりに

ここに書いたことはすべてセットで考えて、かつ同時に実行してもらいたい。そうすることにより、社内コンセンサスが形成され、また強制的、一方的にやらされている感がなくなるからである。また、営業は会社の歯車ではなく会社の顔であることをベースにすべてを組み立てて欲しい。課題を抱えていない営業は存在しない、その課題をどのようにして解決していくかがポイントであって、営業は外部環境をはじめ実に複雑な要因が絡みあって成立している。何か1つだけ解決すればすべて上手くいくものではない。当然ながらそれの課題をすべてITで解決できるものでもない。最後はいかにもソリューション会社らしい締めくくりになってしまったが、これで本連載は終了となります。いつも締切り間際の夜中に勢いだけで書いた拙い原稿でたいへん恐縮でしたが(今回もご多分にもれずそうですが)、読者の皆様、愛読ありがとうございました。



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